「全ての人が美しい世界」シーズン1の感想

ブスだから性格が悪い、美人だから性格が良いのではない。

良い顔を向けられたら良い顔を返すし、嫌な顔を向けられたら嫌な顔で返す。ただそれだけのことだった。

 

ダウンはヘジンを偏見を持たない子と評価していたけど、そのヘジンは塾でアルムから「ダウンとまた仲良くなりたい」と聞かされて顔をしかめた。

「アルムは居場所がなくなりそうだからダウンに近付こうとしてる」と悪い方向に捉えたからだ。偏見にまみれまくっている。

けどアルムの本当の声を聞いたヘジンは色眼鏡が外れてアルムと親しくなった。ヘジンが特別良い子というわけではない。アルムが心を開いたからヘジンも心を開いた。単純な話だ。

アルムだって、ダウンに「今まで優遇されてきたんだから」と言われたら猛反発したけど、「私の方が死んじゃいそう(だから自分を蔑ろにするのはやめて)」と泣かれてからは嘘みたいに落ち着いた。

ダウンが僻みではなく、心の底からアルムを心配したから、アルムもそれに応えたんだと思う。

 

とはいえアルムの苦労は美人故だ。新学期始まったばかりの頃、ヘジンはアルムのことを「そんなに喋らないのに」と評価していた。

この「そんなに喋らないのに」が全てを物語っている。 顔が綺麗なのはアルムだけど、喋ってて楽しいのはきっとダウンやチェミなんだろうなと思うくらいにアルムは喋らない、とにかく喋らない。

「朝から購買?」
「みんなごめんね、後でね」
「みんな~またゲームしない?」

ダウンと衝突するまでアルムが放った言葉はこういうちょっとした一言くらい(ダウン視点で物語が進んでいるというのもあるけど)。アルムうるさぁぁい!のときですらアルムは最初からお喋りしていたわけではなかった。話しかけられてようやく喋っている。

 

中学のときアルムと居場所争いしていた子がいた。あの子も恐らくアルムと同じでそんなに喋らなかったんじゃないだろうか。

どちらもそんなに喋らないけど、アルムはずば抜けた美人だから無口でも可愛がられてしまう。居場所争いしていた子からしたら「なんで?」と不満に思うだろう。

 

口は災いの元というが、アルムはそんなに喋らないのに美人故に災いを招いている。

注目されている中、そんなに喋らないけど笑顔だけは浮かべるアルムにアルムを囲む人たちは何かしら不信感を抱く。男子がいようがいまいが関係なく問題が起こるのはそういうことだ。

しかし周囲もそんなに喋らないからといって今更アルムから離れられない。アルムが美人だから、離れれば女子なら嫉妬、男子なら相手にされない逆恨みとか言われるだろうけどみんなそれは勘弁だからアルムのそばに居続ける。

 

「その顔じゃなかったら」

アルムはきっとそんなに目立たず、本人にとって平和だったはずだ。