くるみ亮「私を笑わないで」アフターストーリー:09(最終話)まで読んだ感想

ネタバレありの感想です。批判的な意見も含みます。

  

最初は琉衣さん派だったけど、でもちょっと待って! 途中から小さな違和感を覚えた。だって琉衣さん、愛莉を口説く手口がまるで透夜のよう。

ホストとして貢いだり遊んだりするなら楽しそうだけど、彼氏としては軽すぎるかな……。申し訳ないけど透夜の二の舞になる予感がした。ならずに済んだけど。

グイグイ来るまでは本当にかっこよかった。じいちゃんばあちゃんっ子っぽいところも意外で可愛い。愛莉もFFDのこと知ってる相手だから楽だったのかな。

寝落ち出来るくらいリラックスしてたし、ホストみたいにぐいぐい来ないでちゃんと本名名乗ってれば……と思わずにはいられない。

 

荒木さん(愛莉の勤務先の新人さん)が出てきたあたりから不穏な空気に。

愛莉が琉衣さんにも森口さんにも手作り菓子を渡すものだからこれは一悶着ありそうだな~と思ったらやっぱりあった。人としてダメ、から始まるあの展開が始まってしまった。

この展開には本当にモヤモヤする。しかも今回は彼氏候補の森口さんが当事者だから余計にモヤモヤ。

『私を笑わないで』のいい人ってとことんいい人なんだよね。且つ物語に深く関わる。対して嫌な人は嫌なことするためだけに生まれてきたような人で、この人たちは役目を終えると退場してしまい、二度と出てこない。

この両者がぶつかるとどうあがいても後者のほうが間違っているように見えるので、内容はどうあれ納得がいかない。暴論というか、偏った意見に聞こえてしまう。

ひかりと愛莉、ひかりと高岩君、愛莉と透夜、のような主要人物同士の衝突は自然に起こっているだけにかなり浮いて見える。ここだけご都合主義っぽいというか。

愛莉は最終的に森口さんとくっついたけど、まあ手放しには喜べなかった。森口さんは部屋に呼ばれたからって簡単に手を出さないし、細かい気配りが出来るいい人なんだけど、「人としてダメ」を論破するキャラにはしてほしくなかった。

 

琉衣さんは完全に勝ち目はなくなり、愛莉は森口さんを目で追うように。愛莉の葛藤は凄まじかった。ワガママと甘えるの境界線って難しい。

意外なのは透夜と琉衣さんの再会だ。透夜ちょっと可哀想だったんで、立ち直れるといいね……。琉衣さんには透夜に手厳しくしてほしいと思う。

ところでこの二人の本名って結局なんだったんだろう。透夜はそのまんまな気がするけど。

葛藤ばかりの中で、ひかりと愛莉が料理したり食事してるシーンが癒しだった。