澄川ボルボックス「傷だらけの悪魔」の感想

好きなところ

メッセージ性があり、考えさせられた

まず、作品紹介文が今と違って「いじめはなくせると思いますか?」と問いかける文章だった。実際に読んでみて色々と考えさせられた。

舞は詩乃をいじめていたのだから詩乃から復讐を受けるのは仕方ない。でも優里亜が出しゃばってくるところではない。でも優里亜は静に怪我させたから舞が許せないのであって……などなど、考察の甲斐があった。

 

人間の汚いところが存分に描かれている

花房妹の「葛西さんと仲良くするメリットないじゃん」「誰だって自分が一番可愛いのよ」。山本の「(いじめをするのは)楽しいから」。優里亜の「(私のするいじめと山本のするいじめは違う)一緒にするな」。舞の「私には友達などいなかったのかもしれない」。

人間不信やら理不尽やらとにかく汚いところを詰め込みまくっているものだからすごくドキドキした。

 

気になるところ

がっちがちに縛られた設定

多くの物事が徹底的に動機付けされてしまった。舞がドライなのも、ちはるがいじめを働くのも、詩乃が病んだのも、千穂が行動を起こしたのも、何もかもがなるべくしてなった。

メッセージ性はいっきに消えた。教室の外に原因があるなら解決しようがない。なるべくしてなったんだからしょうがないよ。

 

男キャラが悪目立ちしている

男キャラ、特に唯と当麻の出番が増えてから話が進まない上に二人とも伊藤と大して変わらない人間性なのに本当は良い奴扱いされてるからおかしい。女子だけに戻して。

特に当麻。彼の罪は重いはずなのに当事者意識薄くて苦手。開き直ってる伊藤のほうがマシ。

 

今更「仲間だろっ!」

約4年にわたって人間の汚いところ嫌なところをたくさん描いてきたのに今更仲間仲間と熱くなられても嘘くさい。

そのせいでキャライメージもブレブレ。舞はこんなに簡単に仲間にキュンキュンするなら長いこと一人で悩んでたのはなんだったの? 千穂も強気になりすぎてもはや別人。唯もこんな熱血じゃなかったでしょ。

キャライメージが変わるのは長期連載あるあるかもしれないけど根本から変わりすぎ。

 

最後に

舞と詩乃、舞と優里亜の決着が気になるのでとりあえず追ってるけど……ほんと、女子だけに戻してほしい。