ドラマ「3年A組」がひどい

今更ながらドラマ「3年A組」を見ました。一言で言うと「ひどい」。

 

柊一颯はヒーローでも良い先生でもない

良いこと言ってる風ですが柊一颯は自分の主義主張のために教え子たち約三十名を人質に事件を起こした犯罪者です。

ネットの奴らが悪い? 私には現在進行形で爆破、監禁、銃刀法違反などの罪を積み重ねる柊こそ悪に見えました。

景山澪奈は確かにネットの誹謗中傷が原因で命を絶ったのでしょう。とはいえ柊は立てこもり犯。今、悪いことをしているのは柊。説教をしたところで「お前が言うな」。

例えるなら迷惑系YouTuberが迷惑行為を生配信しながら人に迷惑かけたらダメだと視聴者に説教するようなものです。

 

人質にされた生徒たちも説教されます。説教が効いたのか彼らは大切なことを教えてもらったからと柊に惹かれていきますが、それってストックホルム症候群に過ぎない。

3年A組の生徒たちは景山澪奈を死に追いやったという弱みに加えて生殺与奪の権も握られています。柊次第で明日ご飯が食べられないかもしれない。家に帰ることだってできない。

クラスメイトが一人、また一人と殺される中、生徒たちは恐怖したでしょう。次は自分が死ぬ番だと。本当は殺してなかったからいい、で済む話ではないです。

命の危機に直面した状況で生徒たちが生き延びるためにできることは一つ。精一杯柊を敬い柊に従う、それだけです。それを人望があると勘違いしてはいけない。

 

犯罪と復讐を美化している

柊のやってることって要は復讐です。相楽文香を追い詰めた何かへの復讐。3年A組はそれに巻き込まれただけ。

恐ろしいのが協力者が二人もいながらこれをよしとしたことです。文香の件とは無関係の高校生を悪質な事件の被害者にして何も感じないのか? しかも協力者の一人は刑事。刑事自ら犯罪を助長してどうするんですか。

こじらせた大人のヒーローごっこに高校生を巻き込むのもヒーローごっこのために高校生の死を利用するのもひどいです。

 

最後に、こうすればよかったんじゃないかと思うこと

ミステリーかと思い最初はそれなりに楽しんで見ていたんですが、責任の所在が二転三転、終いには「ネット民が悪い!」なので薄っぺらいです。

視聴者に伝えたいことはわかるけどやり口が迷惑系YouTuberだし、目には目を歯には歯をの精神で柊も同僚をフェイク動画で追い詰めている。柊には言われたくない、といった気持ちです。

ネットの誹謗中傷をなくしたいと願うならフェイク動画に関わった人たちを特定、逮捕すればそれで十分です。

彼らが逮捕されれば被害者はちょっとした有名人なのでメディアは大きく取り上げるでしょうし、デマがきっかけでネットの誹謗中傷が多発、そのせいで自殺したと言われれば「デマに踊らされないように、また誹謗中傷を書き込まないように気を付けよう」と思う人、少なくとも犯罪者に説教されるよりは増えるはずです。