【傷だらけの悪魔】キャラブレとえこひいきが酷くて誰にも共感できない【第337話までの感想】

いじめ漫画って被害者が100%可哀想だし、加害者側も家庭事情などの問題を抱えていることが描かれるといじめの件は許されないにしても同情する。

傷悪はそうはならない。

 

 

舞に共感できない理由

優里亜と当麻に甘いから

舞はいじめ加害者と傍観者が許せないから文化祭で復讐を計画、彼らに忘れられない記憶を植え付けてやろうとしている。

彼らを許せない気持ちはよくわかる。いくら昔詩乃をいじめてたからってそれを理由に第三者にいじめられる筋合いなんて毛頭ない。やり返していいと思う。

でも舞に最も危害を加えた優里亜と当麻には甘い。あれだけのことをされて、あれだけ許せないと怒りをあらわにしていたのにすこぶる甘い。

文化祭まで隠し通せばいいものを「何かやりますよ」ってことを度々優里亜と当麻の前で匂わせる。何度も何度も匂わせたら大したショック与えられないでしょ。舞はなぜか憎い相手の負担を減らそうとしている。

おまけに何回も根は良い奴だとフォローする。ということは許してあげるんだと思ったら舞は謝罪されても絶対に許さないと突っぱねる。

これじゃあ結局どうしたいのかわからない。本当は良い奴、と散々フォローを入れたのと同じ口で謝っても許さないって矛盾してるし、散々フォローした上で優里亜や当麻に罰を与えてもすっきりする気がしない。憎いなら憎い、許すなら許すってはっきりしてくれないと不毛よ。

 

優里亜と当麻以外に厳しいから

優里亜と当麻には甘くてどこかなあなあな雰囲気なのに、恵那や伊藤には辛辣なところと、三口さんら傍観者は絶対に許さないという姿勢がどうにも納得がいかない。

そりゃあ彼らにも悪いところあるけど、優里亜と当麻以上かと言われるとそんなことはない。でもなぜか優里亜と当麻以上に叩かれている。まるで二人の身代わりのように。

この辺りは作者の意思を感じる。作者は優里亜と当麻がお気に入り。この二人だけは何としてでも酷い目に遭わせたくない気持ちがあるんだと思う。

そんなの読者には関係ない。舞に最も危害を加えたのは優里亜と当麻だ、他の誰でもない。お気に入りを庇うために他のキャラを必要以上に悪者に仕立て上げたり被害者の舞に二人をフォローするようなこと言わせないでほしい。

 

近藤さんに共感できない理由

行動理念が不純な上に矛盾しているから

この人は本当に惜しいキャラ。中学のときのような過ちを犯したくないとか、ラインいじめに遭っていたとき舞に助けてもらったからとか、そういう理由で舞に協力するならかっこよかったけど、それがまさかの伊藤が気持ち悪いって理由で協力。

確かに舞を襲おうとする伊藤は気持ち悪かった。近藤さんが過去にそういう系のトラウマ抱えているのも不憫でならない。

それなら当麻は? 私としては当麻は自分の手を汚さず伊藤に実行させる卑怯者で、伊藤以上に気持ち悪くておぞましかった。

けど近藤さんは伊藤は気持ち悪いと言いつつ伊藤と同罪の当麻は許しちゃってる。謝ったから許す、は理由にならない。犯行現場を目撃して気絶するほどのトラウマを抱えた人がトラウマを想起させる人物を前に合理的な判断ができるとは思えない。

でも当麻を許す。近藤さんのトラウマはトラウマじゃなくてイケメンは許せるってだけのただの容姿差別に見えてしまった。そんな人にとてもじゃないが同情できない。

近藤さんがそんな人間だったなんてガッカリだし、優しい常識人が暗黒微笑系中二病キャラになったのも残念でならない。

 

【余談】当麻ってそんなに良い子?

ネームドキャラからモブキャラまで、誰もが本当は良い子扱いする当麻だけど、彼がやったことと言えば、

  • 舞が静に水をかけられた際に「名取ナイス中二病」「うけるわー」、舞が優里亜に帰れよ!っていじめられてるときに「いいぞ藤塚ー」、帰る舞に「お帰りの準備いいですか~お出口こちらでーす」、舞が帰った後「久しぶりに面白いもん見たわぁー!」「ヤベー! ウケるー!」など率先していじめを盛り上げ、楽しむ(第9-10話)
  • 恵那をブス、デブ、優里亜のパシリ的な金魚のフン呼ばわり(第25話)
  • いじめを密告した近藤に「楽しい遊びをしてるんだから邪魔すんなよ」「あんまり邪魔すると藤塚じゃなくてもお前のこと嫌いになるかもな」と脅しをかける(第48話)
  • 伊藤をそそのかして性犯罪の片棒を担がせる(第140-145話)
  • その件について指摘されると逆ギレ、近藤の胸倉を掴んで脅す(第150話)
  • 阿部に「ぶっさ」「ニキビやばくね」「気難しいブス」など数々の暴言を吐く(第155-156話)
  • 自分のことは棚に上げて恵那に「お前そんないじめたいわけ?」「自分の自尊心をいじめで保ってんの?」(第273話)
  • これら全ての行動に対して当事者意識を持たず優里亜のためと言って責任転嫁
  • 伊藤を庇うことも阿部に謝罪することもない
  • その他、言い訳に言い訳を重ね時には涙を浮かべて被害者ぶる

悪行の限りを尽くしている。全然良い子じゃない。

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最後に

なんやかんや優里亜も当麻も罰を受けると思うけど、作品全体を通して「優里亜も当麻も悪くないよ! 二人とも良い子だよ!」って言っちゃってるんで絶対すっきりしないだろうなぁ……。

優里亜と当麻が許された空気の中容赦なく裁かれるであろう他のクラスメイトが不憫でならない。