湊かなえ「少女」の感想

湊かなえの中で特にお気に入りなのが「少女」。初めての湊かなえ、初めてのイヤミスということもあり、思い入れも強い。

最初に読んだときからもう2年以上経つけど、今更ながら感想を書く。

 

感想(ネタバレ無し)

始まりは遺書。誰かが死んだらしい。でも誰なのかわからない。

語り手は由紀と敦子で、由紀は人が死ぬ瞬間を、敦子は死体が見たいと思い、それぞれ死の瞬間に立ち会うべく行動に移す。

強迫観念じみた由紀と敦子の衝動に感化され、遺書が誰なのか気になって気になって仕方がなくなった。

由紀が死ぬのか、敦子が死ぬのか。読む手がとまらない!

 

以下はネタバレを含む感想。

 

感想(ネタバレ有り)

テーマを友情と捉えるか、因果応報と捉えるかで全然違う話だと思う。

友情ものとして読むと、とてもイヤミスと思えない。伏線が一寸の狂いもなくぴたりと繋がる気持ちよさも伝って、むしろ爽やかな話だと感じる。

因果応報ものとして読むと、女子高生の残酷さにただただぞっとする。このあとに降りかかる仕打ちとか考えちゃう。

あんなにみんなと違うって感じた由紀も結局はいち女子高生に過ぎなかったところが特に恐ろしい。