【鬼滅の刃】嫌いなところはすごく嫌いだけど、好きなところはすごく好きな漫画

鬼滅は鬼が全滅してめでたしめでたしな結末にモヤります。炭治郎だけでも鬼を皆殺しにしたことをもうちょっと重く深く受け止めてほしかった。悲しいにおいがするとか鬼は悲しい生き物だとか鬼に同情するようなこと再三言ってきたんだから。

人殺しは悪だから死を以て償わせるスタンスが「お前嫌いだから○ね!」になったのも残念。

前者も独善的だったり自分たち鬼殺隊が元人間を殺したことは何とも思ってなかったりで大概だけど一般人を守ろうとする側面があるのでまだよかった。

後者は感情に身を任せているだけでそれ故に鬼へひどい暴言を吐く。存在してはいけないとかとっととくたばれ糞野郎とか貴方何のために生まれてきたのとか。ジャンプのヒーローの言うことか? これが……。

 

また、鬼殺隊も鬼も人生最大の危機に直面したときに助けてくれたのが鬼殺隊か鬼かってだけで境遇や性格はそう変わらないのが何とも言えない。

妓夫太郎は先に会ったのが鬼狩りで鬼狩りになったら良い暮らしができると言われたら喜んで鬼狩りになったと思うし、妓夫太郎と同じく貧困だったカナヲは先に会ったのが鬼なら全部どうでもいいから特に抵抗することなく鬼にされるがまま鬼になってたかもしれない。

それでいて鬼殺隊は大正義!大悪党の鬼を皆殺しにしたから世界は平和になってめでたし!は無神経さを感じます。

 

産屋敷耀哉大絶賛なのも怖い。産屋敷はすごく優しい聖人のように扱われているけど最終選別の仕組みを見るに無慈悲で短絡的。最終選別で若手を無駄に殺している。

選別で命を落とした人物の中には今は弱くても大人になったら強くなるかもしれない大器晩成型がいたと思うんですが。錆兎も生きていれば柱クラスだったろうに。そういった可能性を一切考慮せず、またやり直しのチャンスも与えず選別の時点で死ぬような奴ならイラネ、はあんまりである。

鬼狩りになるための試験として鬼と戦わせるのは良いとしても最低限命の保障はしないと鬼と変わらず人殺しだし、何なら生きるために人を食わざるを得ず結果的に人殺しになった鬼のほうがまだましまである。

 

とまあすごくモヤモヤするところが多い鬼滅なんですが、それでも好きなところはすごく好きです。

例えばシリアスなシーン。妓夫太郎と梅の地獄での会話や、魘夢に見せられた夢の中で炭治郎が家族と再会するところなんかは泣ける。

炭治郎、善逸、伊之助によるギャグも面白い。女が絡むとポンコツな善逸が都会では常識的だったり、幼い子供のような伊之助が戦闘では頼りになったり、普段は頼もしい長男な炭治郎が変なところで天然だったり。キャラクターのギャップと、ボケとツッコミがその場で変わるのが良い。

女性キャラクターのデザインも可愛い。蜜璃ちゃんの桃+緑な三つ編みとか、しのぶさんの夜会巻き+蝶モチーフとか。可愛いんだけど大人っぽさもある。絶妙なバランスのオシャレ。

 

不満なところがこれだけあって、それでもついアニメを見てしまうのはやっぱ好きなところもあるから。声優さんは豪華だし作画も綺麗だし。

どんな作品にも好きな部分と嫌いな部分ってあると思うんですが、鬼滅はそれがすごく極端です。嫌いなところはすごく嫌いだけど、好きなところはすごく好き。