どうしても読めない本がある

どうしても読めない本がある。つまらないから読む気になれないのか。そうじゃない。確かにつまらないのも理由だけど、つまらなくても最後まで読めた本だってある。

読めた本との違いは何か。それは構成と文章(文体)、これらと相性が合うかどうか。

 

どうしても読めない本

つまらないけど最後まで読めた本は構成か文章、どちらかと相性が良かった。

山あり谷ありな構成なら「今度こそ面白くなるかも」とつい期待して、波長の合う文章なら「なんとなく」で最後まで読める。

その結果として「つまらない」と思うだけで、どうしても読めない本とは根本から違うのだ。

例えば『リアル鬼ごっこ』と『王様ゲーム』。個人的つまらなかった小説のツートップで、文章がひどいと思いつつも「こんな無茶苦茶なゲームどこかで誰かが阻止するんじゃ? 止まらないとしたら最後に生き残るのは誰か?(リアル鬼ごっこ)」「誰が黒幕なのか?(王様ゲーム)」といった具合に結末が気になる構成だったので一応読了できた。

 

どうしても読めない本は構成とも文章とも相性がすこぶる悪い。

すんなり飲み込めない文章で書かれた退屈な物語に読む気力をどんどん削がれていつまで経っても読了できない。どうしても読めない本の殆どはこれ。

たまに構成も文章も悪くないのにどうしても読めない本がある。それは行間から感じる作者あるいは登場人物の価値観、これが理解したくないものだった場合。価値観が受け入れがたいと、どれだけ先が気になっても、文章が好みでもとてもじゃないが読んでいられない。

例えば『君の膵臓をたべたい』。この作品は結末が気になったし文章も割と好みだったけど、どうせ死ぬからといってホームセンターの店員さんに自殺に使えるロープについて尋ねるヒロインとそれを見て笑う主人公がどうしても受け入れられず最後まで読めなかった。

 

最後に

できればあまりどうしても読めない本を手に取らないように気を付けたいものだけど、こういうのって結構先まで読んでみないとわからない。少なくとも最初の数ページだけだと絶対にわからない。

ニクいのが、のちにどうしても読めない本になるとしても、最初の数ページはすごく面白そうだと思わせてくるところ。その時点では文章に引っかかりを覚えず、価値観もまだよくわからない。

読んでいくうちにだんだん思ってたのと違うことに気付き、勝手にがっかりするのだった。