町の小さな本屋さんの話

近所に小さな本屋さんがあった。

品数は少ないけど、代わりに商品棚の背が低くて圧迫感のない穏やかな店の雰囲気が私は好きだった。

 

久しぶりに行くと出入り口に防犯ゲートが置かれていた。それも原色に光っててかなりド派手なやつ。茶色とクリーム色で構成された店内で異様な存在感を放っていた。

商品棚には真っ赤な文字で大きく「返品・交換不可」と書かれたポップが何枚も貼ってあり、漫画を買うと店員さんが緊迫した様子で「○巻でお間違いないですね?」と聞いてくる。

 

穏やかな雰囲気じゃなくなってた。

前は防犯ゲートもポップもなかったし、店員さんが漫画の巻数を確認してくることもなかった。

なんかトラブルがあったんだろうなぁ……と、ちょっと寂しくなった。