くるみ亮「僕らの喉にはフタがある」第52話まで読んだ感想

くるみ亮先生の最新作『僕らの喉にはフタがある』はweb漫画だからこそできる新しい形式の漫画。

一話につき「閉」と「開」という違うverの話がある形式で、「閉」では隠された登場人物の考えや心の声が、「開」でわかる。

最初に更新されるのは「閉」のほうで、「開」が公開されるまでの間に「彼・彼女は何を考えているんだろう」と考えるのが楽しい。

 

好きなのは瑠奈の話。

瑠奈は明るくて美人で、聞き上手で人に好かれるし機転が利く。

なのに清掃会社に勤めながらも洗剤の種類を覚えられない、機転が利いて器用そうだけど頭の中はまとまらない思考でいっぱい、言葉にできない鬱屈した気持ちをリストカットで吐き出すなど「閉」「開」のギャップが激しい。

笑顔の裏で本当は何を考えているのか。何に困っているのか。気になるキャラクターです。彼女の話が来たときは特に「開」の更新が待ち遠しい。

 

瑛士の話も好き。彼は初の「開」回(第12話)でとにかく死ね死ねと(心の中で)言う強烈で嫌な奴だった。

そんな瑛士がなぜ死ね死ね言うのか、どんな人間なのか、回を進めるごとに判明していく。

彼も瑠奈と似てて自分のことがよくわからないというか、素直になれないっぽい。口は悪いが割と可愛げのある奴だった。

でもまだわからないことだらけ。心の奥底に他にも何か抱えてそう。

 

苦手な話もある。乙葉とか古賀くんとか。滝沢さん、あずささんも。

彼・彼女たちの話の全部がってわけじゃない。少女漫画のような恋愛話になるときが苦手。吃音云々とか恋愛なくてもいいようなとこでも恋愛する。

これって『僕らの喉~』に限った話じゃなくて、過去作の『私を笑わないで』と『みんな知ってる』でもそうだった。恋愛なくても成立するテーマだけど恋愛が絡む。くるみ亮先生の作品はそういうものだ。

ただ過去作は一人、二人くらいしか恋愛してなかったから気にならなかった。『僕らの喉~』はあの人もこの人もその人も恋愛を繰り広げるので食傷気味。

あと恋愛が絡むときだいたい赤面するか気になる相手を見ているかなので「閉」の時点で何を考えているのか察してしまう。楽しみが減るのでそこがちょっと残念。

 

とまあそんな感じ。

今一番楽しみなのは瑛士の話です。あんまり出番がないキャラなので。

恋愛絡むのは苦手だけど乙葉の家庭事情も気になる。